このレビューはネタバレを含みます
河合優実よ、凄すぎるだろ。この役を憑依させた時のメンタルが心配なくらい。そして救いがなかったこの作品。
積み重ねた◯が続けられなかった。ことごとく自分の道を阻む母親を殺せもしなかった。そんな絶望と、それに勝てない自分に杏は自分自身を許せなかったのかな。
最近見たShrinkというドラマを観てたから分かる、この母親は精神疾患だ。でなきゃこんな酷いことできない。そう考えると杏があそこまで持ち直したのは周りの支えがあったことは確かだし、杏が本来真面目で思いやりのある子だってことだ。精神疾患は親から移ってしまうこともあるそうだけど、その環境の中育った杏が老人ホームの人たちに優しくできるのも、隼人のお世話もできることも、杏の持つ本来の力だ。
佐藤二朗演じる多々羅は、シャブから抜け出す手助けをしながらも、警察という立場を利用して悪いことをしてた。人間良いところもあれば悪いところもあって、それでこそ人間らしいし、それが普通なのかなとも思った。あそこまで悪いことをするのは良くないけど、人間誰しも善と悪を持っていて、そのバランスで成り立っているのかなと。杏もそういうバランスを持っていたら◯がつけられなかった自分を許してあげられたかな。
早見あかりが演じていた母親はちょっと理解し難かった。自分の息子をたまたま隣に住んでた人に押し付けて、杏が死んだあと、あの人は恩人ですみたいなことを言うなよ、と思った。ある意味この映画の登場人物で一番タチが悪いタイプの人間だ。
作品のジャケに書かれている「彼女は、きっと、あなたのそばにいた」っていうのは自分のすぐ近くにも同じような境遇の子がいるかもしれないし、自分もこの映画の誰かになり得るってことかな。