このレビューはネタバレを含みます
最も壮絶だったのではと思える、12歳で母親から紹介された男に身体を売られてから、ウリを続けたという部分が
あまりに本人や警察や第三者からさくっと語られていて、そのあっさりした表現ゆえか、余計にどうしようもない暗闇の深渕を垣間見てしまった気がした。
人から自分の存在を肯定された事のある人なら
逃げ場や居場所がどこかしらにはある人なら
自力でも他力でも立ち上がれることをしっかり自覚できる記憶や経験がある人なら
打ちのめされても光を見つけられたのかもしれない。
それでもあまりに幼く、アイデンティティも自己形成されないままに彼女は壊された。
壊れた状態で、諦めないでいてくれる人に出会って、少しずつ、本当に少しずつ光を見いだし始めていたところに
容赦のない現実が次々に彼女が見出し始めた光を奪い続ける。
母親も母親だし、祖母も祖母だが
これは
コロナが残した
コロナが奪った
命のひとつなのだと思った
コロナは徹底して人を孤独にしていった
そしてその孤独が命取りになる人々の命を容赦なく奪ったのでは…
自粛のお願いはするのに、生活の保障はしてくれない
日本が見捨てたひとつの命だったのかもしれない