かえるのエリー

あんのことのかえるのエリーのレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
3.8
恐らく暗い話だろうと感じていたので、観るのを躊躇っていたところもあったが、賞レースを賑わす河合優実の爆上がりの評価も相まって再生ポチリ。想像以上に胸糞だった。。。







以下ネタバレ感想







毒親とか言うレベルを超越。これが実話ほぼそのままとの事なのが恐ろしい。自分も子供がいる身で、子供からしたら口うるさい親と思われているんだろうな、などと日頃から思うこともあるが、本作の杏の親は、どうしたら自分の子供に対してあんなに酷いことができるのか、もう理解の範疇を超えている。

どの角度から見ても100%悪の母に対し、見方が難しいのが多々羅の存在。破天荒ながらもヤク中を更生させたいとする姿と、その仮面の下で欲望を満たす姿。前者からの後者だったらまだ救いがあるものの、もし後者のための前者であれば母の存在にだいぶ近づく。実話だと、多々羅が逮捕されたのは杏の死後らしい。だとすると、今回の時系列の入れ替えは、桐野が真実を曝け出した事への葛藤を生み出しており、映画的ではあるが、実話からは逸れた気がする。

コロナはあらゆるものを変えた。身近なところでは、在宅勤務が増え、宴会は減り、一定数の人はマスクを外せなくなり、コミュニケーションが薄くなった。そんな中、少しずつ前に向かっていた若者が、周りとの関係を断たれて、最悪の結末を迎えてしまった事は非常に考えさせられるものがある。

河合優実も素晴らしいが、W河合母娘となった河合青葉の絶対悪もあっぱれ。そして笑いを封印した佐藤二朗が新鮮だった。