の子蛙

あんのことのの子蛙のレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
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どこまで実話でどこまで実話じゃないかは映画になってる時点で大事では無く、こちらが悲惨さを少しの動作や表情で容易に想像出来てしまう事に意味を持つ映画だと思った。何より河合優実の演技が持っていってる。
監督も言ってたけど飛び降りのシーンは飛び降りたところを撮ったのに、映さなくても河合の演技で観客に何が起こっているのか伝わると思ったから編集でそのシーンは入れなかった等、違う女優だったら起こりえなかったかもしれないというかそうだと思う。あんの気持ちを追いながらというか見つめながらというか…そのまま飛び降りる流れがあまりに自然過ぎて驚かなかった。

大事なものが増え、失われていくというのは生きていく上で彼女とは違う環境に生きてる私たちでも起こる事だが、彼女にはそのスパンが短すぎたのと、大事な人が自分の意思では無く第三者から勝手に引き剥がされている結果になっている事に問題があって、自分の意思ならまだしも、大事な人が誰かによって奪われるという事は普通に生きてても中々起こらない。なのに彼女は何回も起こってしまった、そのストレスを薬に投じてしまう事を責めたのはその時彼女自身だけだったし、責める必要は無かったのに。積み上げてきたものを自分で壊した事を許せなくなったのは、それ程更生した結果でもあると自分は思った。
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