歌うしらみがおりました

青春の歌うしらみがおりましたのレビュー・感想・評価

青春(2023年製作の映画)
3.5
仕事しながら「悪口言ってた」だの「からかわれた」だの言ってはしゃいでたら、その延長でポンと投げつけられた何か(ボビン?)に急にブチギレる男、投げつけられた何か(ボビン?)の放物線をなぞるように画面左からブチギレ男に飛びかかってくる男、二人を必死に止める母親らのガチ喧嘩が素晴らしすぎる。ブチギレ男はハサミを手に取って母親に諌められるのだけど、その簡単に理性を捨てられる感じが最高。諍いの最中にすぐに刃物を手に取る男はいつだって最高だ。

フラれても口説き続ける男も哀しくて良い。女は全く恋愛感情などなく耳をつねり、蹴りに至ってはもはや嫌悪感が勝ってるんじゃないかと思えるような強さだったが、そんなスキンシップに諦めるという選択肢を消されてしまう哀しい生き物。本当は可能性はゼロだと分かっているのに。耳をつねって逃げ出した女を追う男、を追う階段のショットはとても瑞々しくて感動的だが、上っていった先で完全に拒絶され、独りになる男の哀しい現実。そして女は結局イケメンとくっつき、そして冷める。

ババァが上層階からゴミを捨てたの翌朝、「こんなところにゴミ捨てたのは誰だぁ!!!!!」と管理人みたいなオッサンがブチギレてるのも笑いましたね。

それと、横並びに座って行われる縫製作業を横から取ることで自ずと縦の構図が生まれて、且つ二人の動きや作業ペースの違いが映像を豊かにしているのが映画見てるって感じで上手いなぁと思いましたね。