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青春のsukeのレビュー・感想・評価

青春(2023年製作の映画)
4.0
大量生産のシステムの中にあり、機械的な素早さで服を仕上げる労働者たち。AI、ロボットの時代に、ともすれば「社会の歯車」みたいな人間性を剥奪した見方をしてしまいそうな立場の人々に、人間性を付与するようにカメラをまわす。結果、似たような無機質な建物の中で、ものすごい人間臭さと生活感が前面に押し出される映像になってて圧倒される。ただ長期間の密着をしてるだけでこれが撮れるのかっていうくらい、カメラに人間性が晒されている謎。すごい。人がいなくなった時の建物の、箱感。「場」を考えさせられる。

長時間にわたり散々工場のシーンを見せられた最後に、労働者の故郷の村に帰ってくるのが、労働の果てに帰郷する登場人物の体験を追体験させる。労働者はまた工場へ戻り、観客は生活に戻るという違いはあるが。
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