Erika

無名のErikaのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
4.3
1940年代前半の上海を舞台にしたスパイ・ノワール映画。

国民党、共産党、日本軍…。各々の立場の登場人物らが、自身の真意を隠し、時には探りながら、激動の時代を乗り越えようとする。

場面を少しずつ見せられ、時には繰り返され、中盤から徐々に場面が繋がっていき全容が明らかになる。
先が読めなく、最後に一つの絵が完成するような感覚に感動した。

トニー・レオンの洒脱な立ち居振舞いと画面を埋める存在感、ワン・イーボーの時には冷酷で感情の読めない目の演技が秀逸。

一方で、取り上げた時代と製作国柄、日本軍と共産党の描き方にお決まりの感じがあるのは否めない。
とはいえ、その中でも、各立場の胸の内を丁寧に台詞で明かしており、歴史の中の人々を描こうという監督の思いは伝わってきた作品だった。
Erika

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