自由に脚色した物語、すべて事実とは限らない、フィクションですとわざわざ最初に言ってるの笑ってしまった。
(「実話に基づく」をすべて実話だと思い込む人が常に一定数いるからね)
タイトルのまんま、カトリーヌ・ドヌーヴがシラク元大統領の妻ベルナデッドを演じるドラマでややコメディ寄り。
だけど、夫の肩書が上がっていくのと比例して自分の存在は影をひそめ、大統領の属物とみなされ、個性を前に出せば疎まれる、女性の不遇を描いた映画でもあった。
ダイアナ妃が亡くなった日のエピソードも描かれている。この時のスキャンダルだけで、ドロドロ劇が1本出来そうだが、あくまで健気に現状に対処するベルナデッドを中心にすえていた。
冷たく世間知らずで傲慢な女性というイメージがいつのまにかついてしまい、自分のイメージを正そうとするうちに、政界や男性社会の歪みを知り偽善や裏切りの蔓延した状況に向き合い対処しなければならない…という話。
自分らしさ、作られたイメージ、なりたいイメージの狭間で奮闘するベルナデッド。
シラク大統領はニュースで見たり読んだりする以外よく知らなかったが、劇中はすごくイヤなヤツ。
妻と二人三脚でここまで来ることが出来たと言うタイプではなく、体裁のために妻と一緒にいるだけ…みたいに見える。
まあとにかく出てくる男性がほとんど有害。
なのでベルナデッド(カトリーヌ・ドヌーヴ)の魅力際立ち、痛快に感じる部分もあって良い。
大物政治家の妻や王妃の話は自分を封印して抑圧された女性の映画で良作がいくつかあったが、これも同じことを描いていながらそこまで暗くないので見やすいかも。
サルコジ元大統領(ロラン・ストーケル)も出てくる。