KnightsofOdessa

The Permanent Picture(英題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Permanent Picture(英題)(2023年製作の映画)
3.5
[] 70点

ローラ・フェレス長編一作目。スペイン南部の田舎村で、妊娠した10代の少女アントニアは娘カルメンを残して姿を消す。50年後、そのカルメンはスペイン北部で広告代理店のキャスティング・ディレクターをしながら暮らしており、そんな生活に路上香水売りのアントニアという老女が転がり込んでくる。前半30分は少女アントニア篇、後半60分は中年カルメン篇に分けられており、前者の過去/田舎という文脈で映されるショットの"絵画的な"美しさが素晴らしい。残念ながら後者の現代パートに入ってからはトーンダウンしてしまい、撮影で頑張れる箇所が代理店のオフィスしかなかったのか狙いすぎた"絵画的な"ショットが増えていく(そうなると前半の美しさの足を引っ張るわけで…)。寧ろ、冒頭の死んだ父親が二重露光で浮かび上がってくるシーンが頂点だった説もあり。物語とか人間の動きとかと相補的な関係のない、ただ美しいショットとか撮ってもしょうがないっしょ、としか。全体的に伏線のような場面/単語はあるものの、ワンシーンワンショット完結のトラジコメディのような感じなので、うっすらロイ・アンダーソンを思い出してしまった。終盤10分くらいまでは爆睡しても話が繋がるという意味ではエルマンノ・オルミっぽい気もする。クレプスキュールフィルムとか好きそう(適当)。宗教や政治の話が結構あった(し重要みたいなことを監督も言ってた)ので、スペインに詳しくないと文脈が分からないのかもしれない。
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