猫熊

戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版の猫熊のレビュー・感想・評価

4.5
実在したポーランドのピアニストであるヴワディスワフ・シュピルマンが体験したホロコーストの映画。

ホロコーストが蔓延するポーランドにて一家でゲットーから強制収容所から移る際に1人だけ逃されたところから、荒廃した都市を孤独に逃亡し生きていくシュピルマンの姿にちゃんと生き残れるか、ナチスの人間に見つからないかとハラハラしながら観ていた。映画終盤ではその緊張感でいい意味で疲労が溜まってた。

この映画はホロコーストの中でもショッキングな映像が多く、ナチス側の人間による人を殺していく際の躊躇の無さに、何度も息を呑んでしまった。シュピルマンが初めは痛ましそうに観ていたのに対し、逃亡生活の中盤では生き残ることと、何度もその様子を見たせいか、段々と温度のない目で慣れたようにする姿が印象的だった。

個人的に印象に残ったシーンは一人逃がされたシュピルマンが崩壊したゲットーを泣きながら歩くものと、ドイツ将校の前でピアノを
弾き終わったあと、屋根裏部屋で泣くものだ。どちらも心が締め付けられるようだった。

ホロコースト関連の映画や映像は見る度に、過去にこんな非人道的な出来事があり、そしてそれを絶対に忘れてはいけないし、軽んじてはいけない、再びこんなことを起こすのはもっての外だと思わせる。
猫熊

猫熊