しおとあぶら

陰陽師0のしおとあぶらのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
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原作は「生成り姫」までが既読。
「隙がない」と聞いて観に行った映画だったが、文字通り隙がない。少しスカした目線で、隙っぽいものを見つけてはみるものの、紐解けば、原作にある博雅の「過剰で純情可憐な感受性」に由来するものだ。改めて、この映画のことを好きにならざるを得ない。
この「過剰で純情華恋な感受性」を描写するべく巡り巡る画たちは、先入観や見栄などの邪推を無作為に突破してくる博雅への晴明の思い入れ、はたまた狐の子かもとすら言われる晴明の人間離れした在り方を、人間的なもの、として描写する。
鬼を人の心の由来とし、人の心を鬼の発生源と見定める。
そのような原作の前日譚として突飛で、手堅くあった。
個人的な願いでもあるが、この映画を見た人々の最後に湧き出る感想はきっと、「博雅はーー」であろう。
そして、その願いの帰結の先はきっと、佐藤嗣麻子監督による『陰陽師』シリーズの映画化。また彼らとスクリーンで合間見える時が来ることを切に願う。
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