さっちゃん

アバンとアディのさっちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

アバンとアディ(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

マレーシア社会の陽の当たらないところで暮らす
素朴ながら犯罪や賎業には身を落とさない気高さをもつ聾唖の青年アバンと
生きるためなら手段を選ばない無軌道な青年アディ
不法移民故、医者にすらかかれないような生活の中肩を寄せ合い生きる2人の若者の
兄弟愛と呼ぶにはあまりにも重く苦しく、不器用な関係性の物語

先行きの暗い袋小路の生活と、その中での蛍の光のような喜びとを
じっとりねっとりと、暗い画面で描き続ける怪作でした
終始静かな展開ながら、蒸し暑さやカビ臭さまで漂ってくるかのような画面から目が離せない

(展開は違えど)高瀬舟を髣髴とさせる兄弟愛や罪や倫理の観念を問う作風で
よかれと思って起こした行動で、少しずつ自分たちの首が絞まっていく姿が淡々と描かれていき
終盤に向かって展開が加速する中、息遣いだけで見る側の心をかき乱してきます

開始5分で後味悪そうだなと覚悟してたら
最後は意外にも魂の救いを迎えるハッピーエンド(ほんと?)だったので驚きました
さっちゃん

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