このレビューはネタバレを含みます
舞台挨拶につられての鑑賞。
私はずっと「生きる=命を奪う事」だと思ってるので、狩猟や、獲物を捌いてる様子等を否定的に捉えるのは綺麗事でしかないと思うし、食べるための行為であれば良い(というか、そうするしかない)と思うんだけど、害獣駆除として行われて、死体がただ廃棄されてる事も多いという現実や、実際、鹿とかが増えてしまったのは、人間が針葉樹ばかり植林してしまったり、開発やらで山の生態系を崩した事による部分が多いって…こういうの何とかできないものなのかな…。
東出くんのお師匠さんの、狩猟で感じる罪悪感は、他者の命よりも自分の命を優先させた後ろめたさ、とか、命とは、全体のうねり、みたいな話もとても興味深かった。
私が自分ですぐできるのは、今までどおり、食べ物はとにかく美味しく大事に残さずいただくらいしか思いつかないけど…
東出くんの考え方は(起こした騒動の内容はともかく)、共感できる部分が多く、例えば狩った後に可哀想だと感じてしまう、という相談をお爺猟師にしていて、お爺に「そんな風に思うならやらない方が良い」みたいに言われていたけれど、強く反論するでなく、一意見として捉えて「でも自分が今すぐそうなる必要はないと思ってる」と後で語るとか、
山小屋まで雑誌が追いかけて来たけど、なぜかそのカメラマンが一泊していって「すぐに人を信じちゃいけない」って説教していくっていう珍現象がおきたりとか、
子供達に「でっくーん!」って囲まれてたり…みたいなのが納得できて、とてつもない魅力がある人なんだろうなと思った。
演技も良いしなぁ…すごい俳優さんだ。
そういう魅力を伝えてはくれるんだけど、私個人的には、映画自体のMOROHAの武道館のライブ映像を絡めて…みたいな所に無理を感じたり、序盤でまだ話を色々しっかり聴きたいとこなのに話と違う言葉をテロップにしたり…みたいな演出面が、ちょっと自分の感覚と合わない部分はあったな。
狩猟とゴシップの取材は似てる、みたいなのを、雑誌の記者やカメラマンさんと話してたのも興味深かった。雑誌の取材やってる人ってどういうつもりなん、って思ってたけど、結局、生活のために働いてる1人の人間なんだよなぁ…
…なーんて、なんだかんだ言いつつ、こんな長文の感想を書いてしまうくらいに考えさせられる映画でした。
あ、でも、犬が逃げちゃって捕まえられてないのはちょっと許せない。