こーたろー

オリオンと暗闇のこーたろーのレビュー・感想・評価

オリオンと暗闇(2024年製作の映画)
3.5
チャーリーカウフマン脚本だったので鑑賞

映画の内容は、何にでも恐怖を感じてしまう主人公オリオンは女の子にすら怯えていて、いじめっ子にもビクビクして過ごしている。そんな中、学校の課外授業でプラネタリウムに行くことになり、オリオンはクラスメイトの女の子に一緒に見ようと誘われるが、いつもの余計な心配をしてしまいプラネタリウムには行かないと決意する。その夜、寝る時にオリオンが最も恐れている"暗闇"が現れ、自分の仕事を知って欲しいと打ち明けてくる、、、といった話。

子供向け作品ではあったけれど、全然大人が見ても楽しめた。少し気になったのは暗闇含めた仲間たちがどっかで見たことあるようなキャラクターであんまり新鮮味もなかったし、よくあるような悩みを抱えていた点だ。しかし、オリオンの何にでも恐怖を感じてしまうといったキャラクターは個人的に共感できたし、感情移入もしやすかった。

本作のテーマである恐怖といったテーマは誰にでも身に覚えのある経験だからこそ、共感しやすいものになっている。自分も小さい頃は寝る時に布団から足を出すのが怖かったし、クローゼットが少し空いていたら怖くなってすぐに閉めたりしていた。でも大人になるにつれて、そのような恐怖はいつの間にか少なくなっていった。大人になること=恐怖を克服していくこととも言える。
本作の冒頭でオリオンがプラネタリウムに行くことを渋っている時に、お父さんとお母さんが言ったセリフがとても印象的だった。「心配なことがあってもそれは普通のことだ。怖がりすぎないことが大事。じゃなきゃお父さんはお母さんにプロポーズできなかった。」と言ったセリフだ。人に自分の気持ちを伝える時、大人でも怖いと思う時はある。それは気持ちを相手に伝えても、それは自分だけの気持ちだったり、全く見当違いの意見だったということは往々にしてあるからだ。でもそういった経験を乗り越えて、好きな人に自分の気持ちを伝えることができるし、結婚することだってできる。映画冒頭でそのアドバイスをもらったオリオンは、今までもらったアドバイスの中で最悪だよといった感想を言う。しかし、本作の最後でオリオンと自分の子供、ひいては孫との関係性が映されるシーンでまさに恐怖を克服した主人公の成長を見ることができて、不思議と感慨深い気持ちになった。

自分に子供ができたら見せたいなと思える作品だった。