くりふ

ジャスト・ア・メリークリスマスのくりふのレビュー・感想・評価

3.0
【クリスマスなんかいらない】

Netflix新作。クリスマス映画には興味ゼロだが、良作『ビッグ・シック』を思わせる設定に惹かれたので。実際、あれのファストフード版みたいだった。実話を元にしたという、ノルウェー×インド間で修羅場るカルチャーギャップ・コメディ。

おや、オモロイやん!一気見しちゃった。…1.5倍速で。www

ノルウェー女とインド男がラブラブとなり勢いで婚約、ヒロインはクリスマス帰省で彼氏を同伴し、婚約報告に漕ぎつけようとするが…。

外野から見ればノルウェーとインドって、文化は対極のように思える。どんだけカオスになるんだろう?と期待したが…割と大人しいのね。だから物語としてまとまったわけだけど。

この構図だと、ノルウェー側の差別視線とインド側のマイペースで、ギャップを擽ったカンジかな。いったんヤな空気満々となるが、当然で、それがしくじり先生ってことでしょう。

しっかし“雪国のインド人”というミスマッチが可笑しかった!黒髭に雪のトッピング!www

役者さん達は達者でしたが、中でも義姉に惚れた!ミシェル・ウィリアムズ似の地味セクシーおばちゃん。物語のチューニング役でもありましたね。

型優先で縛られる伝統の阿呆らしさ、文化の前に普遍的な人間性を守る…という芯が通っていた所にホッとした。で、“幼い隠し玉”をそこで出すのか!…わりと効いてるじゃん。

信仰の件に踏み込まないのは綺麗事だけど、ウソの上塗りをしないのはよかった。皆でクリスマスなんかや〜めた!と成れれば戦争も減って、一番平和に近づくとは思うけど。

同じコミュニティ内なら、表向きだけでも歩み寄ろうとするが、赤の他人だと“異教徒はコロセ!”に変貌するのが神サマの悪いトコ。ねえ、キリル総主教さん?

エンドロールでモデルとなった2人が登場するが、原作はどんな質だったのかな?『ビッグ・シック』での2人は作家で、共同執筆した脚本が基だったが。コチラは、素人2人の体験談をWebで発表、てなカンジだろうか?脚本は監督が書いているようだし。

現実の2人と2家族が、ホントのトコロはどうだったのか、知りたいなあ。クリスマス映画にしちゃったから無難にまとめているが、『ビッグ・シック』レベルの物語で見てみたい。

カルチャーギャップは映画の題材として、まだまだ鉱脈だと思う。これからも出てきてほしいな。そして互いを尊重した上で、おかしいことはおかしい!と、言えるといいよね。

<2023.12.12記>
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