豚肉丸

In the Basement(英題)の豚肉丸のレビュー・感想・評価

In the Basement(英題)(2014年製作の映画)
4.0
家の中に地下室を持っている人の生活に密着したドキュメンタリー映画

初ウルリヒ・ザイドル。
地下室の活用方法は多岐にわたる。例えば広大な空間を使って射撃場施設を開いたり楽器を演奏したり人形の赤ちゃんを収容したり...あるいはネオナチがナチスのコレクションの収容部屋に用いたり、 共依存的な関係性のSMカップルがSMに興じたり、分娩台プレイをしたりなど...映画内に登場する過半数の人物がとにかくヘンテコで奇天烈としか言いようがなく、中々に異常なドキュメンタリー映画であった。
前半はまだ落ち着いているものの、中盤辺りから異常さは際立って加速していく。ただのトロンボーン奏者に思われていた人の部屋の中にナチスのコレクションが詰められていてネオナチだと判明するあの長回しショットの奇妙さ!

ウルリヒ・ザイドル監督の作品は初めてなため、普段この監督がどのようなスタイルの映画を撮影しているのかは不明なのであまり言えないが、生活に密着したドキュメンタリー映画であるにも関わらず、登場する人達の背景が殆ど語られない手法がかなり奇妙に思えた。一部は語られるものの、それに充てられる時間は少なく、映像の殆どは固定ショットで生活を映し出す...その突き放したような、「見世物」的な悪趣味さも少し感じなくもない。(ラストショットはまさに「見世物」的なショットだろう)
そして確実にショットにおける作為性も交わっており、この映画がただのドキュメンタリー映画ではないことは確かに感じられる...
演出もショットも映される人物の生活も何もかもが絶妙に相まって、とにかく奇妙としか言いようがない味わいだった。
パラダイス三部作観るか...
豚肉丸

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