このレビューはネタバレを含みます
こういう実話をもとにした映画って、すぐ感動しちゃいます(笑)。人が何かを成し遂げるために頑張る姿はやっぱり素晴らしいし、苦難に打ち勝つ姿を見ているだけで泣けてきます。そんなわけで、この映画も予想通りの展開ながら、しっかりと心をつかまれました。
心臓が悪い娘を救いたい一心で、現代医学では困難とされる人工心臓を自分で作ろうと決意した男性の話です。このあらすじだけでも感動しそうですよね(笑)。動機がしっかりしている上、素人でありながら勉強して見聞を広め、金も時間も惜しまず、10年間も突き進む姿は圧倒的です。誰にでもできることではありません。しかし、最終的には娘の命を救うことができず、死を悟った娘から「お父さんの知識を使ってたくさんの人を助けてほしい」と言われ、その言葉を胸に、主人公は日本人に合ったIABPバルーンカテーテルを開発していきます。実話とはいえ、ここまでの功績を成し遂げた話には驚きと感嘆を禁じ得ません。一度は挫折しながらも、「次はどうする?」という人生の教訓のような言葉とともに突き進む主人公の情熱は胸を打ちます。
尺の都合から、どれほどの苦難があったのかが詳細に描かれていなかった点は少し残念でしたが、タイトルにもあるように、あくまで「家族」全員で突き進む物語として描かれており、それはそれで良い選択だったと感じました。
本当に多くの教訓を得られる作品であり、それが大泉洋の風貌とも相まって押しつけがましくなく、爽やかな感動とともに伝わってきました。教授をやり込める後半のシーンでは、思わずこちらまでガッツポーズをしたくなるほどでした。また、菅野美穂演じる奥さん(ちょっと変わった夫婦の似た者同士?)とのシーンも良かったです。福本莉子は今回はグッと抑えた芝居で可愛さを封印していましたし、川栄李奈は「良いお姉ちゃん」として存在感抜群で、彼女が本当に素晴らしい女優になったことを改めて実感しました。松村北斗や有村架純も非常にバランス良く配置されており、俳優陣を上手に活用して素敵な感動作にまとめられている印象を受けました。
難しいのは、実話のリアリティと「号泣必至の感動ストーリー」とのバランスだと思います。本作は感動路線に振り切った印象でしたので、賛否が分かれる部分もあるかと思いますが、個人的には「東宝映画」らしい作品としてこれで良いと感じました。とにかく家族をテーマにした物語で元気をもらいたい時におすすめの良作です。Filmarks評価4.1も納得の内容でした。