金春ハリネズミ

からかい上手の高木さんの金春ハリネズミのレビュー・感想・評価

からかい上手の高木さん(2024年製作の映画)
4.0
やーやー。
見ました。

迷ってたんですね。ずっと。
映画館でも違国日記とどっちにしよかなって最後まで迷いました。

原作はもちろん未読。
全然門外漢なので興味なかったです。
ただ、今泉監督作ということで、この組み合わせに興味が湧いた。
試しに手頃なドラマ版を見てみることに。それで決めようという手筈です。

不覚にもきゅんきゅんしてしまい、口角が一向に下がらない始末で、すっかりハマってしまいました。
特に主演の月島さん、黒川さんが瑞々しくてとってもフレッシュで。
全てがゆっくりまどろんで進んでいく空気感に、ずっぽり肩まで浸かってしまいまして、どうしようかなと。

不思議ですよね。こんな話実際ホラーですよ。
あんな2人、特に西片なんかほんま声出して笑ってまうくらいにはちゃめちゃな奴なんですけどね。
細かいディテールでしょうか、実写化に合わせて、繊細で巧みなチューニングが為されていたのでしょうね。
2人の顔のアップになるたびに、2人が微笑む度に、グッとくる。
そんな素晴らしいドラマでした。

だから本作を見ました。
見てよかた。
というのも、やはりドラマ版が磐石でした。本作はそのドラマ版で培った空間をとても大切にして作られてる。
主演2人の演技メソッドも絶妙です。👍
またあの晴れやかな小豆島の、なんかいい匂いのしそうな清々しい景色が帰ってきた。それだけで嬉しいのです。😃

また本作は、設定を駆使して高木・西片から離れるということにも挑戦。
まぁ、あの2人はイカレた野郎ですから、言うたらキュンキュン製造マシーンですわな。
良かったのは生徒の大関・町田ですね。
彼女らは、現実の我々と同じような感覚で恋路を右往左往してくれますから、これぞ今泉節。といった感じで、とても彼らしく、「人を好きになること」について真剣に挑めている。
普段SNSで恋愛相談受けてるだけある。
生徒2人のあり様を、かえって高木・西片にも転用することに成功していますから、今泉さんお得意の長回しが非常に効いてきます。

ラストの教室でのシーン、世代が違えば「まどろっこしくて鬱陶しい」と野次を飛ばされてしまいそうなんですが。

むしろ本気だからこそ、嘘はつきたくないし、体裁とかは一旦置いといて、見切り発車で相手を傷つけたくない、遠回りでもいいから真っ直ぐ正直に向き合いたいという如何にも今っぽい若者像を、しかも西片というキャラクターをしっかり活かしつつ、真面目に取り組んでいるのは心底関心しました。
あそこのシーンは周りの観客もさすがに見入っていましたね。
説得力あるんでしょう。
あのシーンだけは浮世離れしているあの2人も、いよいよこっち側(現実世界)に寄りかかってきてる感じがしますもんね。

現実とファンタジーが織り混ざった不思議なバランスのセカイでしたが、我々が度々こういうのを求めてしまうのは、一体なんなんでしょう。
現実は違うけど、心にはこういう風にセカイが映っているのかも。

嬉しいキャスティングが多かったです。
何故かカラオケに行きたくもなりますしね。

Aimerさんの主題歌良いなー。