垂直落下式サミング

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)の垂直落下式サミングのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

斧江財閥の所有する新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀を頂戴すると、例によって怪盗キッドの予告状が届けられたため、コナンは服部平次らと共に北海道・函館を訪れる。そんな中、函館倉庫街では、刃物で斬りつけられた男の遺体が見つかり…。
劇場版第27作目。本作ではストーリーを史実に絡めながら、ロケーションには観光名所やランドマークなどを大きく打ち出しつつ、人気キャラもどんどん出してきて景気がいい。ここんところシリアスで暗めの作品が続いていたから、出し惜しみせずゴージャスでおしていく方向性にちょっとした懐かしさをおぼえる…。すっかり劇コナファンです。
今回は、宝探しの謎解きと複数勢力による争奪戦がメイン。殺人の方法よりも動機が重要になってくる。新キャラで重要そうな見た目してるやつに、それ相応の役割が与えられているので、頭んなかで人物の相関図に線引っ張りながら鑑賞すべし。
本誌では、新一がビッグベンで告白したことに服部が対抗心を燃やして張り合っていて、和葉への気持ちにどこでどう決着つけるか引っ込みがつかなくなっていて、和葉のほうは服部の焦燥をよそに相も変わらずのほほんとしている状態であると、この関係性を踏まえておくと甘酸ラブコメとしてニヤニヤできる。
フェミニン要素はカコイチよかったな。女の子たちの服装がちゃんと毎日違うのに変わってるのは当然として、ホテルの部屋で和葉が髪結ぶところとか、スマホ操作する時にみえる紅葉のネイルの柄とか、哀ちゃんのかぶってる帽子も印象に残るステキなやつだったりで、ファッションの見せ方に気合いが入っていて、芸が細かい。
芸が細かいと言えば、相手の連絡先をどんな名前で登録してるかで、キャラクターの性格をうまく出しているのも、すごくいいです。「バ快斗」「旦那様」双方向の関係値ではなく、一方的に相手に向ける感情に対する萌え。いやぁ、実に天晴れであるよ…。
ミステリーに関しては、比較的平凡な仕掛けだったかなと。お宝は兵器だってことがわかるところで、火柱がドガーンみたいなイメージが挟み込まれるけれど、そんなわけないじゃんね。“当時の”戦況をひっくり返すほどの兵器と言われた時点でオチが読めちゃうのはマイナス。そんなもん欲しがる?第二次大戦時点での最先端テクノロジーが、いま通用するかってハナシ。ゼロ戦はF-22に勝てますか?ってなもんで…。ワンピースの古代兵器みたいなもん想像してたのかな?コナン・ユニバースも、そこまでバカファンタジーじゃない。敗戦国にそんなもんがあるとでも?そんなもんに生涯捧げちゃって、オメーらちょっと頭悪すぎんか?
少年探偵団の面々は、いちおう役割与えられていたけれど、お約束でムリクリくっ付けてきた感。『黒鉄の魚影』であんなことがあった灰原哀ちゃんなのに、また博士たちとセットで雑に呼び出されてかわいそう。コナンてめえ哀ちゃんのこともっと大切にしろよ!



【※ネタバレ】
最後の意味があんまよくわかってないんだけれど、工藤家と血縁であるってことなのかな。赤井家にしろ宮野家にしろ、優秀サラブレッド一族ですね。だから、やたらと顔が似てることを強調していたのかな。にしても、工藤パパママ能天気だなぁ。有名作家の家に盗品があるとか、イッパツ大炎上だと思いますけど…。
哀ちゃんのキスは僕にもわかるレベルの大事件だったけれど、漫画をずっと追いかけてる熱心なフォロワーじゃないから、この重要さがよくわかんなかった。赤井さんたちと哀ちゃんもいとこだし、そういうこともあるでしょ。マンガだし。たぶん本作の一番のサプライズだろうに、周囲のざわつきに着いていけなかったのが悔しい。