あんときの井上

時々、私は考えるのあんときの井上のレビュー・感想・評価

時々、私は考える(2023年製作の映画)
3.8
「僕が死のうと思ったのは 
 まだあなたに出会ってなかったから」

この映画の本質はフラン。フランの為の映画。

以下に、フランみたいな人に観て欲しい理由を述べる。

①風景ショットは現実世界の美しさを知って欲しいから。

②自宅が斜面にあるということはその世界が傾いていることを暗示しているから。

③ディゾルブはこの世界から消えたい心情を表現しているから。

④マーダーミステリーみたいなゲームの実演で死体の役を演じることにより死への欲求も発散できるから。

⑤ロバート「何が得意なの?」「他には?」
→その次のカットでフランのクロスした足下を映し、自己開示の拒否や防衛の仕草が足下にも表れているから。

⑥ギャレット「職場の人に菜食主義と思わせてる」→みんな誰だって何にだって思わせ合ってるから。

⑦キャロル「頭の中にある空想の世界、それは現実じゃない」→だから頼むから現実を生きてくれ!

⑧エマ「フランが差し入れ?」→自分の得意なこと(贈り物)を発揮したり、蟹の食べ方を教えたりして、頼られることで頼れるようになるから。

⑨ロバート「あと、気まずい沈黙も(好き)」
→この発言を聞いてちょっと好きになる人もいますから。

⑩この映画は、希死念慮というよりかはどうしようもなく死を夢想してしまう女性を描いてる。そんな人でも恋愛して良いのだと、温かく語りかけてくれているから。
あんときの井上

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