はなたまご

テルマ&ルイーズ 4Kのはなたまごのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
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気晴らしの旅が一転、人生をかけた逃避行に。そんな数奇な運命を走り抜ける二人の女性を描いた作品。
この映画は「二人がどうして前に進むしかないのか」という問いを見る者に与えていると感じる。テルマは旅を通じ抑圧と孤独から解放され、強かさと大胆さが覚醒した。ルイーズは理性的で実行力のある強い女性であるが、声の届かぬやるせなさに打ちのめされ傷ついた繊細な心をもっている。社会が女性に隠すよう押し込めさせた人間的な側面を二人は互いに助け合いながら発見し、認めていく。前に進むのは、ようやく見つけた自己に誇りをもち、それを是としない男性社会に見切りをつけたからだ。荒涼とした大地は二人が身を置いてきた抑圧の世界であり、雄大な自然は二人の解放を表しているように感じた。
ラストシーンは映画としての魅せ方が素晴らしくある種の爽快感を覚えてしまった。しかし、二人の下した決断に哀しき社会の現実を見出し、その根底にある意識に目を向け続けなければならないと感じた。