ハンセン病で10歳から瀬戸内の長島に住むかづゑさんに密着した四年間のドキュメンタリー。ハンセン病のこと、知っているつもりでいて、何も知らなくてごめんなさい。
90歳を超えたかづゑさんの子どものような好奇心と真の強さ、愛情深さ、ユーモア、瑞々しい感性と人間の力に震えました。それがどんなに苦難の人生だったかは、想像さえつきません。
家族の支えがあり、島で知り合った夫との夫婦愛。強さの裏には愛された関係がたしかにありました。家族に捨てられる人もいた中、断崖絶壁に立ち、海に身を投げる寸前に思い出す母親の愛。かづゑさんが死んだら母親も追ってきてしまうと、生きる側にとどまったと。
辛い話も、夫との掛け合い漫才のような会話も、すべてかづゑさん的に、豊かな感性で語られます。
とてもチャーミングなかづゑさんの言葉ひとつひとつが力強い。
失った指を補完する器具を自分で作ってパソコンで書くのですが、口述記録にも驚きました。はじめて語られる言葉が、既に文学的表現をまとった文章になっていること。幾度となく、繰り返して考えてきたこと、強烈な記憶だったことがうかがえます。
たくさんの方に観ていただきたいです。文学少女だったかづゑさんの著書『長い道』を読みたいと思いました。いつまでもご健在で！
