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縄の呪い3の消費者のレビュー・感想・評価

縄の呪い3(2023年製作の映画)
3.2
・ジャンル
心霊ホラー/オカルト/ドラマ/アクション

・あらすじ
冥界の門が開く陰暦7月
自殺者の邪気を祓う儀式、“送肉粽”が禁忌とされる中でとある旅館にて首吊り自殺が発生した
道士で妖魔を祓う伝統劇一座の座長ウーシオンを父に持つグアンユーは妹を失って以来、“天命”を迷信と考えていた為に親友グイの自殺の起きた一室の掃除のバイトに同行してしまう
金を貯めてパルクールで有名になるべく家を出る事が彼の目的だった
しかしそこには祓われたはずのタイの悪鬼“クマントン”が潜んでいた…
怪異によって次々に発生していく死者達
やがて悪鬼の毒牙はグアンユーの周囲にも及んでいき…

・感想
台湾ホラー「縄の呪い」シリーズの3作目
前作と同様に今作もネトフリオリジナルとなっており、前作の主人公ジアミンが道士として登場する

1作目の陳腐さに対して前作は資金が増した事もあってかかなり質が上がっていた
そして1作目の主人公である悪鬼となった親友の脅威に曝された女性シューイーとその夫ジアウェイの赤ん坊が今作に深く関わってくる事を示唆する形で終幕
しかし蓋を開けてみると今作でその2人は僅かにしか関わっておらず、“天命”を受け入れられない能力者が悪鬼と対峙する中で道士の道へと進んでいくというストーリーも焼き直し感が否めない
またせっかくジアミンを道士として続投させながらも彼女の活躍も少なくモヤモヤが残った
そして何より惜しかったのが今作の主人公グアンユーのパルクールという大きな要素もあまり活かされていなかった点
その上、前作の様に儀式へとフォーカスを当てた世界観でもなく能力者によるアクションという感じになっていてそのアクション自体もやや迫力不足だった

そういった感じで残念さが目立つ中で本シリーズの肝である鍾馗や道士、送肉粽に関する専門用語が序盤から乱発され過ぎていたのも悪手だったと思う
前作までの入り込みやすさが完全に失われていて終始置いてけぼりを食らっている様な感覚になった
悪鬼の描写にしても前作でのジアミンの叔母ユーランの様な迫力のある憑依者がほぼいないに等しい状態
旅館のオーナーであるワンホワとその息子ルイルイが本来その役割を果たすべき存在だったと思うんだけど親子が悪鬼に囚われた経緯やその背景がありがち且つ駆け足で描かれていたのが良くなかったんじゃないかな、と
もっと人間の醜い業の部分を丁寧に見せてくれてればなぁ…

唯一良かった点はより民間信仰の民俗性が視覚的に強調されていた所くらい?
他は何か全体的に安っぽく感じたしそれにしては尺が長過ぎだしでいまいちノレなかった…

今作も前作の様におまけ映像で続編を匂わせていたけど今度こそちゃんとそれを活かしてくれるよね…?という不安が拭えない
今度こそそこだけはちゃんとして欲しい…
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