くりふ

そして、見失ったのはのくりふのレビュー・感想・評価

そして、見失ったのは(2023年製作の映画)
3.0
【スタンダップ・コンフェッサー】

Netflixヒンディー新作。私にとっては、どうにも歪な映画でした。

原題『Kho Gaye Hum Kahan』は、『あの時にもう一度』の主題曲?に基づいているそうだが、未見なので、その意図はわからず。

ネフリ紹介文には“ムンバイを舞台に、20代の親友3人組が、ソーシャルメディアにからめとられながら、それぞれに恋愛や野心、傷心と向き合う姿を描く”とありますが、SNS依存より恋愛依存の方が問題で、SNSは取ってつけたような扱いに思えます。

主人公がスタンダップ・コメディアンで、そのネタの扱いの方がシリアスで、むしろ主題でしょう。SNSに関しては、バカが勝手にやってろとしか思えないが、中盤と終盤での見せ場、ステージからの生語りにはチクリと、刺される。

インド映画ってパクリが得意だが、これは『マーベラス・ミセス・メイゼル』の青春変奏に思えた。ステージで観客と向かって、セラピーやってるようなところがありますね。

人間は自分のことに中々気づけず、青春期は特に盲目だ。それはわかるが、欲望に流される浮わつきグラフィティを延々見せられても飽きる。途中から1.5倍速でしのぎました。

予期せずカルキ・ケクランが登場し、私は久しぶりだったので嬉しかった!映画の重しになってはいるが、いかにもな使われ方だなあ。興味深くなる役ではないですね。

ヒロインのアナーニャ・パンデイは、私はお初。スリムで可愛らしく、彼女を眺めている分には飽きなかった。しかし役は、男に振り回されるばかりで、面白くない女でしたが。

ゾーヤー・アクタルが脚本を書いているそうだが、『アーチーズ』といい、荒れてない?

主人公がステージに立つ店の名はHIDEAWAYで“隠れ家”。これは最後に効いてきて、巧い。

せめて二時間以内に編集してくれたら、それなりに密度が上がったのでは?と思います。

<2023.12.28記>
くりふ

くりふ