今の時代に時代劇を熱く語り
時代劇の中に時代の儚さを描き
時代の儚さに人の在り方をみる
新左衛門が経験して行く素朴な感情や感動。彼の素直で素朴な言動は、時に笑わせ、時に心に響きホロりとさせくれました。そして新左衛門を助ける周りの人たちも彼の実直さに魅了され支えて行きます。そうやって描かれた人間関係がとても心地よい作品でした。
今や“時代劇”や“人情”は時代の流れに取り残され遺物。それら時代遅れになったものと、この時代に迷いこんでしまった幕末の武士 高坂新左衛門とが上手く重なり、現代人が忘れかけた何かを思い出させてくれるようでした。
そんな素朴で実直な新左衛門を演じられた山口馬木也さんをはじめ、ほかのキャストの方々も個性的で本当に良かったです。
そして本作を創り、まとめ上げた安田淳一監督。とても素晴らしいですね。エンドロールを観ているといたるところに“安田淳一”という名前が出てきて、監督一人で幾つも掛け持ちして作業していらっしゃるのだと感心いたしました。それを見ただけで本作が大ヒットして本当に良かったと思います。
実はずっと本作を観ようか観ないでおこうか迷っていたのですが、映画館で観ておいて大正解でした。とても面白かったです。