FranKa

侍タイムスリッパーのFranKaのレビュー・感想・評価

侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)
5.0
エンドロールを丁寧に、最後までしっかり見届けたい、と思わせてくれる稀有な作品だった。薦めてくださった方に御礼が言いたい。劇場で観ることができて、よかった。

(1) 「斬られ役」というプロフェッショナルさや、その指導にあたる方たちの技に対する矜持など、ただ時代劇を画面越しに眺めているだけでは決してわからないパースペクティヴを呈示してくれる作品。

(2) 廃れていくモノ(本作では時代劇)を、「価値があるのだから大切にしましょう」と、教訓じみた説教で結ぶのではなく、「信じたものをそれぞれの(携わる)人たちが追求(追究)してきた。それでいいじゃないか」と、会津藩の末路とも重ねるようなかたちでメッセージを放つ、その受容的な眼差しに、本作の作り手たちの態度や生きざまが、垣間見えた気がした。

(3) キャラクターの設定も心地よかった。山口馬木也さんは、本作で初めて知った俳優さんだったが、生真面目だけれど、優しさや柔軟性もある、絶妙な味わいをもつ高坂の人格を、ユーモアたっぷりに生きていらして、素晴らしいと感じた。
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