展開の二転三転やスピード感は確かにのめり込むだけのパワーがあるし
面白かったは面白かったのですが、なんだろうこの問題解決してない感。
物流問題をテーマにしてみたってだけで、これといって現実的な事には言及せず
安いエモーションと、それこそ物流のルートの様な入り組んだ構造フェチだけが垂れ流されている感覚というか。
労働環境の悪さから自殺
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恋人or同僚だった満島ひかりが復讐&逮捕
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現場の人間達が同情しつつも暴力テロでは何も変わらないとストライキ(上層部の隠蔽や汚職バレ)
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待遇改善で落着
で良いはずなのに
そこに無理やり全く現場関係ない恋人とか、結婚の悩みとか、海外本社のお偉いさんとか入れるもんだから、どんどん元々の「労働環境の問題」から「それぞれの事情」みたいに論点がズラされ、上層部の責任は海外や"ヤバい"人に他責化され、現場や一般社会の人間は"お気持ち"が大事みたいな話になっていく流れ、本当に邦画の悪い癖だし、社会問題と向き合う上で1番やっちゃダメでしょ。
てか、事件起こるきっかけの仕分け倉庫の労働環境、変わってないじゃん。
配達員の人達の時給がアップしただけで。
そういえばタイトルもラストマイル(物流のラストワンマイルの事だろうし、その課題も作中で描かれていた)だし、それならこの事件そもそも配送業者のとこで起きるor解決された方がよくない？
なにがしたいんだこの話は。
結局「配達員の人たちは命はって頑張ってるね〜！荷物届くの奇跡！感謝！」みたいな感じにして茶濁してるだけやんけ。
その感動茶濁しの割を食うのはいつだって、末端の労働者だわ。
真剣にやれ。
あと満島ひかりが犯人みたいな伏線がどんでんの為だけのミスリードだってことは、あのキャラ、自分の保身の為に仕分け止めなかったり、雇用データ消してたり、下請けを脅したりしてただけって事でしょ。
なんであの人お咎めなしなの？
なんなら1番裁かれるべき人では？
「脅しってのは権力が上の人が下の人にやるもんだ！」ってディーンに啖呵切ってたけど、それお前が「ウチとの契約なくなったら困りますよねー？」と阿部サダヲにやってたことじゃボケ！
それにセンター長に配属された人がどこから来たかわからないとか、どんだけセキュリティ終わってる会社だよ。
この映画で描かれてる事は、労働環境問題とか物流問題じゃなく、ただの価値観が終わってる人間が上にいる企業による人災なのでは？
現状日本で社会問題は一時が万事、現場も社会もこの映画の様な"各々のお気持ち"目線しか持ててないのをひしひしと感じるし、本当にもうお終いなんじゃないかと思う。
