不安定な土台の上に作られた砂の階段を4人で駆け上がる。
「東ゆう」は、地域の東西南北にそれぞれある高校の、それぞれの美女に目をつけては目的を秘匿したまま戦略的に友達になり、女子高生4人であれよあれよとアイドルになるべく大人のレールに乗る。
4人組アイドル「東西南北」はアイドルとしてデビューするが、そのまま駆け上がることができるのか。アイドルとして成功できるのか。
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アイドルを目指すにはそりゃいろいろあるだろう、という私の雑な予測や仮説のど真ん中にずばっと投げ込まれるストーリー。
映画導入から強引な展開で押し付けてくる力強さは、主人公の東ゆうと通じるところあり。
私はアイドルになりたいというモチベーションに共感できません(わかりません)が、西テクノ工業高等専門学校の「大河くるみ」には少し共感。膨大な時間をアイドル活動に割かれ、きっとロボットいじっていたかっただろうなぁと。
東ゆうが「自分が嫌な奴かどうか」と親に尋ねるあたりもかなり策士的な、ずるがしこさのようなものを感じましたが、それも自分で理解している辛さも感じました。
いまにも全てが崩壊しそうな前半のストーリー展開に、嵐の前の静けさでハラハラします。
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流れに身を任せればどうにかなる。というのは悪いように思えて、結局のところは私を含めほとんどみんなそうなんだろう。周りを巻き込んで自分で道を作ろうとする東ゆうは、出る杭。この美学の話なのだと思うけど、、
強引に引っ張って突っ走って後で謝って気持ちよくなって清算される感じは、青春甘酸っぱい映画の中でもあまり印象が良くない。きれいに終わりすぎて逆に気持ちが悪い印象でした。
タイトルの「トラペジウム」ありきで、無理やり星座やカメラマンが寄せに行っている印象もあり、またおじいちゃんの声も違和感ありで、いろんな都合が介入している感があって、、観ていてあまり没入できませんでした。
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不安定な土台の上に作られた砂の階段を4人で一気に駆け上がる。崩れ去る。固く細い目標はもろく、複数に砕け散る。そしてそれぞれに経験を生かして生きて行く。
良い意味で辛く、悪い意味で綺麗な映画。