えみ

トラペジウムのえみのネタバレレビュー・内容・結末

トラペジウム(2024年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじ自体はよくあるアイドル物なんだろうけど、あらすじでは表現出来ない異様な作品でした。
最初から追うような丁寧な感想は割愛。この映画に対しては言いたい事がハッキリしてる。

私がこの映画を観て何が嫌いで何が不快だったか
東ゆうが「アイドルになりたいがために他人も利用し、なりふり構わず突き進む」という人物として描かれていたはずなのに、それまでの過程で歌とダンスの練習をしていない事。
これ。これが全て。

途中の描写、ノイローゼになるまでメンバーを追い込んだシーン
彼氏を作ったメンバーにガチギレして絶対言っちゃいけない事を言うシーン
アイドルに本気であれば、死に物狂いでやっていればある程度感情移入は出来るんだけど、やってないじゃん

オーディション受けてたって設定があるからもしかするとやってたのかもしれないけど、ダンス練習や歌唱シーンで他の子との本気度の差を描かれる事も無く(むしろ流されてアイドルになってるのに他の子頑張ってて偉い)
かといってファッションやメイクを頑張るわけでもなく、キャラ作りをするわけでもなく、ファンの反応を研究するわけでもなく
確かに作戦勝ちみたいに見えるし違う努力してるようにも見えるけど、実際は可愛い友達に寄生してさらに後はほぼ運でアイドルになれたわけで
そこがゴールなら良いけどそうでもないし
好きになれる要素が全く無かった

ちょっと脱線するけど高山一実が主人公に「歌とダンスの努力」をさせなかったのであれば本当に嫌(アニメで描かれなかっただけかもしれないけど、それはそれで一番ダメな改変だし。そもそも本人が書いて無い可能性もありそうだけどそれもそれで酷い)
アイドルになる努力にそこが描かれなかったのってちょっと色々考えてしまう
メンバーにしても人気要素がそれぞれキャラ立ち、容姿(天然)、容姿(整形)っていうのも怖い。アイドルになれたのもそれに加えて運。歌とダンス無いんだ…って思っちゃう。
実際乃木坂はそんな事無い…とも言い切れないのがまた…
ここが一番リアリティ感じる部分だっていうの嫌すぎる。

話を映画に戻すと
物語の収束させ方にも言いたい事があって
人格や視野の狭さとか色々問題があった主人公が、メンバーと和解し色々な物に気づけ、また前を向いて夢を叶える。あの頃も良い思い出でした。
そんなハッピーエンド。

卑怯じゃないそれ?私はハッピーエンド至上主義なんだけど、これは納得いかない。
人間関係についてはただただ周りが聖人だっただけ
最後にアイドルになれたのは何を努力した結果なのかも良く分からない。というか最初の失敗にアイドルとして何が足りてなかったかが実は描かれてない。
実際物語をよくよく考えてみると、周りのメンタルが耐えきれれば成功してた可能性が高いわけで
失敗の理由が「熱量をメンバー探しの条件に加えなかった事」になってしまう。

ここでも徹底的に努力が描かれない。
また現実の話になってしまうけど、アイドルが書いたアイドル物に努力が描かれないの怖いんだよ。
時を飛ばさずにちょっと歌とダンス練習してオーディション受けまくるシーンとかあれば
「あ、ちゃんと努力する事を学んだんだ。アイドルになれてよかったね」って思えるのに。

軽く作品の感想を見てると主人公がサイコパスだとか人の気持ちが分からないとか言われていたんだけど
私はそこは別に良くて、本気でアイドルになるために他の要素を捨て他人を道具としか思ってないっていう人物なら好感を持てる。そういうのは逆に好き。
そうならなかったのは「でもお前歌もダンスも練習してなかったよね」ってなるからです。好きになれない。
部屋でノート書くシーンの前後とかにちょっとそういうシーン入ってれば多分それだけでこの作品好きになれたよ。残念。

私自身がドルオタだったからこういう感想になった気はする。
努力してるアイドルを見てきたからここまでの怒りや不快感があったのかも。
えみ

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