ぜんらまる

トラペジウムのぜんらまるのネタバレレビュー・内容・結末

トラペジウム(2024年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

主人公の空回りを描く終始描いた一方で、作品自体も空回っていたように思う。

主人公の原動力がありきたり。行動は行き当たりばったりで、考え方もよく分からない。脚本は進行を優先し続けたのか終始説明が不足しており、ご都合主義で予想の範疇を出ることもない。この本を「信頼できない語り部」「叙述トリック」などと評する向きがあるようだが、もし本当にそのつもりで構成していたとしたらミステリも視聴者も舐め過ぎだと思う。

作画について。芝居は細やかでキマった構図も多く見ごたえがあった。

一方で、アイドルものなのにライブパートはたった一箇所しかないうえ、キャラが喚いていたシーンのほうがずっとインパクトがあったのが残念。曲も弱くて印象に残らないし、3D・2D混在ながらルックを合わせようという配慮にも欠けていた。

メインキャラ4人のキャラデは細かな骨格の差まで設定していたことが公式SNSで明かされているが、実際の映像でそこまで修正をコントロール出来ていたかは一度見ただけでは分からなかった。デフォルメとしては、シルエットから差をつけるのが一般的だろうが、今作の設定画のように、膝の皿の凹凸のような細かい箇所で差をつけたところで、処理が統一されていないように見えるだけではないか…?

総じてまとまりのなさと粗さが致命的。前衛作品と押し切れるほどの強さもなく、SNSで一時的に話題になっているだけの作品ではないか。
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