アメリカのそう遠くない未来とか現実の延長線上にあり得るかもしれないとかそんなことはどうでも良くて(良くない)。
その舞台設定の中でジャーナリスト視点のロードムービー形式を軸に使命感と倫理観、そのボーダーラインを越えてしまう人間の変化と順応性が恐ろしい話なんだ。
人間という生き物はどこまでも無関心で、どこまでも残酷になれる。
同じ祖国の国民同士が争う内戦、見て見ぬフリをする一部の国民と銃を構える兵士の対比。
転がる死体や殺されていく人を目にした時と自身が死地に立たされた時、カメラを構える2人の女性ジャーナリストの反応の対比が後に効いてくる。
師弟ものの枠組みでも観られるが、アレックス・ガーランドの視座は恐らくもっとシニカル。
あと、我々から見たジャーナリズムとは"如何に注目を浴びる場面を記録することができるか"といったエゴ(金や名誉)にも映るが、その前提には撮られた映像は実際にあった出来事に他ならないということを頭の片隅に置いておきたい。