変な邦題はおいといて、なかなか緊張感のある戦争系ロードムービー。極限のオシゴトムービーでもあるし、成長(?)物語でもあるよ。
前提はかなり荒唐無稽なのだが、異様なテンションと意外にポップな編集、役者の力で見せ切る一本。恐らく好き嫌いはかなり分かれる映画で、人によっては「クソ映画」にもなると思う。現在の「分断」が加速してカリカチュアされた世界に乗れれば楽しめると思う。
基本ラインは現代アメリカ(をメーンとする世界)の「文化的・人種的・イデオロギー的分断」をショートエピソードにしており、ジャーナリスト的な視点ながら、ジャーナリズムに対しての皮肉・批判もある。各記者カメラマンのやり取りでもかなり表現されており、「分断」とともに主題でもある。
まぁ、ジョーダン・ピールの「ノープ」でもそうだったけどカメラも銃器も「shoot」「ショット」なので、そのあたりを考えるとジェシーがフィルムカメラを持って「リロード」するのも意味が出てくる。
話題の赤サングラスの場面は噂通りの怖さ。しっかりトリガーに指が掛かっているのが怖い。一度でもアメリカに行ったことのある身なら妙にリアルに感じられる。気合の入った戦闘シーンも音の恐怖を目一杯感じられる。各陣営のバックグラウンドをあえて描いていないので、(強引に)中立的立場で見ることができる。
ストーリー的にリーの最期は納得できるが、演出が甘いのは非常に残念。ここに情緒が入ってしまうと、全体像がブレるので、敢えてサラッと流して進む方が物語としても良かったはず。スローモーションはやり過ぎで冷める。あと、ジェシーのキャラクターは意外と紋切型。
米大統領選の前ということもあり、時代にぶつけた映画でもあるので、今見ないと評価は下がるかもしれない。