寝木裕和

シビル・ウォー アメリカ最後の日の寝木裕和のレビュー・感想・評価

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アレックス・ガーランドって、こういう作品も撮るのか、という軽い驚き。

「アメリカという国が、もしも内戦状態になったら」と聞くと、かなり重曹的な問題提起がなされると思うだろう。

ところが、さにあらず。

作中、いたるところに散りばめられた、「この描き方は、実際の現代社会に起こりうる事態を揶揄しているのではないか!?」と、匂わせるだけ匂わせて、親切に回収する場面はなし。

そういうことを求める作品ではないのだろう。

例えば、主人公リーに憧れる若き報道カメラマン、ジェシーが、
「あの、“ANTIFA ”が、裏では非人道的な殺戮を繰り返していたことをすっぱ抜いた、リーさんですよね?」みたいに尋ねるところ… 。
ああいう台詞のやりとりひとつを取っても、途轍もなくその真相が気になるのだが、前述の通りそれらはその後一切、取り沙汰されることはなく。

そして突然、フォトジェニックに挿入される映像… 。
朝靄のなか飛来する軍事ヘリ、雲の流れ、風に揺れる黄色い花々… 、はっとさせられる美しい風景の中で繰り返される非道な暴力行為。

激辛豆板醤入りの、ショートケーキ?
苺の乗った、極辛麻婆豆腐?
寝木裕和

寝木裕和