KiKiーXOXO

シビル・ウォー アメリカ最後の日のKiKiーXOXOのレビュー・感想・評価

4.1
ビビッドで生々しくリアルな描写に恐れ慄いた2024年の傑作🌹


🗽あらすじ
近未来のアメリカ、連邦政府から19の州が離脱し、テキサスとカリフォルニアが同盟を結んだ「西部勢力」と「政府軍」の間で内戦が勃発。
戦場カメラマンのリー(キルスティン・ダンスト)を含む4人のジャーナリストは、14ヶ月間取材を受けていない大統領の単独インタビューを行う為、ワシントンD.C.へと向かう。
ワシントンD.C.まで1379キロ、戦場と化した道を進み、ホワイトハウスを目指す。


🗽感想
⚠ここからネタバレ含みます⚠

個人的にはアメリカは、私のアナザースカイ的な場所で思い入れが深いので、観るのが恐かったです。
ワシントンD.C.からニューヨークまでバスで二度往復した事がありますが、大体片道順調にいけば4時間〜5時間かかります。
今、正にアクチュアルなテーマなだけに物語は、抜本的に物事が進んでいくのかと予想していましたが、淀みもなければ容赦もない残酷さで、今の戦争をトレースしているかのように描かれていて、そんな予想は甘かったです…。
徹頭徹尾、緊張と不安に襲われ、正直疲れました。

アメリカは、『トラ・トラ・トラ』(1970)で全部本物の航空機を飛ばしたりなど、昔から戦争映画に対して協力的で懐が深い。
本作では、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの元隊員たちが兵士役で出演の気合いの入れよう。

手持ちカメラで臨場感とリアリティを追求したダイナミックかつ苛烈をきわめる戦闘シーンの中、アート的な画が端々にあり、こんなに恐ろしくカオス……なのに、美しいと思わせられてしまう…でもそこにこそ、インディペンデントなA24らしさを感じました。

キルスティンもケイリー・スピーニーも内戦の狂気の恐ろしさに肉体も精神も呑み込まれていく緊張感ある演技が良かったのですが、本作のMVPは、間違いなくジェシー・プレモンス💐
ジェシー・プレモンス演じる残忍なアメリカ兵の台詞「お前は、どの種類のアメリカ人だ?」は、本作の強度を高めたハイライト。
内戦の狂気と残酷さがこの一言に表れている。
個人的にこのシーン、予告観た時はM・デイモン(それもそのはず!ジェシーは子役時代にマット・デイモンの幼少時代を演じている本人公認のそっくりさん)にもプラピにも見えたので公開されてから、ジェシー・プレモンスと知って驚いた…!
ジェシーは、どの作品に出てもスクリーンに溶け込んでいる。
赤いサングラスは彼のアイデアで二日間の撮影中は、ずっとゾーンに入っていて監督も恐ろしくて不安だったそうです。
実は、他の俳優さんがキャスティングされていたがスケジュール調整が付かず、急遽キルスティンが夫のジェシーに電話で出演を打診し決まったそうです。
ちなみに、二人が結婚した時、「イケメンとばかり付き合ってきたキルスティンが何故ジェシーと結婚?」と、映画業界が騒いだのですが、キルスティンとお似合いの素晴らしい俳優さんである事が本作で再認識されたんじゃないかなと思います。

🇱🇷さいごに
内戦が何故起きたのか、原因が最後まで?で、ラストの大統領の呆気なさが如実。
民度が落ち、人種が偏り、政府と国民の間の深い溝が広まる一方の現在のアメリカ社会で、いつ内戦が勃発しても不思議ではないし、これからどう動いていくのか解らないクリティカルな状況で不安が大きい…。
ですが、アメリカはコロナ禍に何度も何度も国民に給付金を出し、最近も物価高の為、年金の支給額を上げたりと、行動が早い。
そういった点では、小さな島国の日本と違って流石世界最大の国家だなと個人的には思います。
KiKiーXOXO

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