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リアル・ペイン〜心の旅〜のMubaoMasatoのレビュー・感想・評価

リアル・ペイン〜心の旅〜(2024年製作の映画)
4.9
「リアル・ペイン~心の旅~」
僕が好きな俳優キーラン・カルキンとアイゼンバーグがポーランドの歴史探訪ツアーに参加し、亡くなった祖母のことを思い出したり、参加者と仲を深めたり、意見の相違で壊れたりするが、二人の旅が始まる。

これは大傑作です。冒頭だけで二人の性格が一発で分かります。
キーランは早く空港に到着して、物悲しそうに待っているけど、アイゼンバーグに出会ったら明るい人間になる。アイゼンバーグは、心配性で何度もキーランに連絡しているが、キーランに会っても落ち着いて冷静で、常識に外れることは嫌いで、自身の仕事に自信を持っている一児の父。

今回キーランが素晴らしかった。「Succession」の最悪の弟だった彼が今回も憎まれ口だけど意見が一理あるし、仲良くなるのが上手すぎる。お金をたくさん持っている奴はヘロインだとか、物事が起きた場所にペラペラ理論を並べるのはこの場所にふさわしくないという言葉もガイドの人も突き刺さる言葉投げるのもキーランだから説得感がある。お金にも執着が無いけど、多分現実の社会でキーランとは全く違う世界があって、そこで自分の支えだった祖母が亡くなり、存在意義が消えて過剰摂取したんだと思う。キーランは優しすぎたことが大きな原因だと思う。

アイゼンバーグはリアリストで大切な家族がいて、キーランの理想主義が現実とそぐわないからすごく嫌うし、その後始末が非常に面倒なのも、分かるし、キーランだけではこの映画は暴走して終わってしまうので、アイゼンバーグがいることできちんと収めることが出来ている。

そして、アウシュビッツの場所は静かにかみしめながら、そして帰りにはハグとビンタでまた物悲しい感じで終わらせる。もう戻れないあの楽しみが。何とも戻れない傑作。素晴らしかったです。
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