劇場No23
75点
ユダヤ系アメリカ人の従兄弟ふたり組が、亡き祖母を偲ぶためにポーランドの第二次世界大戦史跡ツアーに参加する物語。このツアーを通じて、彼らは他の旅行者たちと親交を深めながら、戦争が残した爪痕に思いを巡らせていく。思慮深い性格のデヴィッドとウザいくらいに陽気で明るいベンジー、ふたりの全く異なる性格を反映しながらテンポ良く進む展開だったが、あの“悪魔のような施設跡”にたどり着いたときに観光気分が一変する瞬間が訪れる。ショパンのピアノ曲を一瞬にしてかき消してしまうような重苦しい空気感。人類が永遠に留めておくべき大虐殺の証拠。ツアー客たちとともに背景にある深い痛みや哀しみに導かれ、私自身も固唾を飲むようにスクリーンに見入ってしまった。本作におけるカルキンくんは確かに‘痛い奴(real pain)’ではあったが、この場面から彼の存在感が非常にシリアスなものとして映し出されていた。おそらく彼が発した「もっと関わりを持て」という言葉はスクリーン越しにいる私たちに対するもの。訪れた史跡に刻まれた痛みや哀しみにしっかりと向き合う二人の姿が印象に残る映画体験となった🎬2025/02/02 ユナイテッドシネマ中間