かぶき

水深ゼロメートルからのかぶきのレビュー・感想・評価

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)
3.4
まぁ、夏休みのひと時、水のないプールに集った少女四人

このシチュエーションの画力だけでもう勝ちです。

高校演劇原作と聞いて、やはり『アルプススタンドのはしのほう』を想起。
画や色調は同じくひと夏の一場面だが、
今作のテーマはどちらかというと、『桐島〜』に近いか。

水のないプールという不思議な場所を舞台に、女の子達が他愛のない会話からそれぞれの人間性が露わになっていく様を描く。

男子水泳部はインターハイに出場し、隣の校庭で球を追いかける野球部は県大会決勝が控えている。

立ち上がってくる、男、女(セクシャリティではなく、ジェンダーの方)そして社会での立ち位置。のようなテーマ。
社会にコミットしつつどこか宙ぶらりんなティーンらしい、漠然とした不満や恐れが、ハッキリ言語化されることなく常にフワフワと浮かんでは消える言葉達。

テーゼやアンチテーゼ、結論など出ない。
結局どうなったかも特に無い。
彼女達が何を得たのか、前に進めたのかもよく分からない。
なのでエンタメとして面白いかと言われると、微妙。
いかにも演劇でござい、という、台詞回しも少し気になった。
だが鑑賞後、妙な余韻が残る作品ではある。
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