あ

DOORのあのレビュー・感想・評価

DOOR(1988年製作の映画)
3.5
なんか映画好きの趣味をこれでもかと詰め込んだシチュエーションスリラーでした。いい時代だったんでしょうね。その反面、ヒッチコックとかってやっぱり凄かったんだなー...とも改めて思わされる映画でもありました。

セールスマンの執着心がなぜそこまで高いのか分からないけれども、職業柄追い返されやすい立場と、いわゆるアッパーミドルが住む分譲マンションの高層階という立地、そして指を挟むという行為で納得させたところは上手かったです。
さらには、叫んでも誰も助けに来ないところがまさに「新住民」と言った感じで、ここにも監督の感性が光っていました。台風が直撃し、下水が逆流を始めた武蔵小杉のタワーマンションで、う○こ人狼ゲームが始まったことが記憶に新しい我々は、一発で「あっ...」となります。

「3代住んでいなければ江戸っ子でねぇ!」と言われていますが、私たちお上り勢はよく「よそもんが出ていけ」と勘違いします。しかし、そういう発想がそもそも田舎的である訳ですし、未だジャンキーな生活とやたら豪勢な建築に縋り付く、倒木にしがみつくコアラみたいな自分達に対して自戒の意味を込めて見ることができます。「東京に出たら銭ぐらためで、東京でベコ買うだ〜」悲しいメロディをこだました吉幾三には先見の明がありました。田舎者はどこまでいっても田舎者であることを自覚して生きていこうと思います。

という感想しか出ない時点で、あとはお察しです。ラストのゾンビ映画みたいな演出は、正直いってダラダラしていてつまらなく、最後まで頑張って走るレザーフェイスくんを見習えと言いたくなります。
あ