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四川のうたのあのレビュー・感想・評価

四川のうた(2008年製作の映画)
4.6
「薄く広がっていく牛乳」の詩と一緒に倒れた工場の壁の煙が広がっていくシーンに物凄く仏教を感じました。変わっていく四川を否定も肯定もせず、あるようにあるのだとただ眺める感じです。諸行無常ですね。

四川の歴史を曖昧な流れと捉えて、その途中の岸にいる人の話を少し切り取ってみたという映画で、記憶を焼きつけられるというよりも、ちょっと知らない世界をのぞいたような不思議な感覚に陥る映画です。

ドキュメンタリーであっても演出からは逃れられないので、あえて意図的な演出をすることによって現実を積極的に再現しようとする感じは、この前見たジャン・ユスターシュの作品群に近いところを感じました。本作の場合は最後の最後でもしや全てモキュメンタリーだったのでは?という疑問が浮かんでくるので、より演出とそうでない部分の境がわかりにくかったです。
あ