今年春に見逃したが丁度ハンガリーの先輩ヤンチョー監督の作品を見ていたので、今だ!と思い視聴。「サタンタンゴ」を見た時もそうだったが、やっぱり長回しがすごい、しかも2時間半もあるので、一回眠気が来て、乗り越えた先まで辿り着ける笑。
舞台は社会主義体制下のハンガリーで、寂れた田舎町が舞台だ、冒頭からバーで踊るシーンが始まり、惹きつけられる。町には興行として巨大なクジラと、プリンスという扇動者がやってくる。
主人公は新聞配達をしながら叔父エステルの世話をする青年ヤーノシュだ。クジラがきっかけなのか、町では暴動が起き始める。ヤーノシュは叔母エステル夫人(ハンナ・シグラ)の依頼で暴動の中心となる広場に向かい、巻き込まれてしまうーー。
モノクロの映像で、暗闇の描き方が凄い。特に、トラックの中でヤノーシュとクジラが見つめ合うシーンが印象に残った。内と外のような構造が見えて、室内と屋外では別のショットに分かれていた。町の中心の広場の中にトラックという室内が展開されるのも印象的で、町、拡大すると舞台当時のハンガリーも室内のような閉塞感があったんだろうか。そう見ると、最後のシーン、広場のトラックが破壊され、クジラがむき出しになったのも社会主義が崩壊したハンガリーのメタファーのようにも見える。