これは三谷さんの原点である舞台劇だ。ラストのミュージカルシーンも舞台の観客サービスのカーテンコールだ。三谷さんの舞台作品にあまり馴染みのない人には世界観に乗りにくいかもしれない。
三谷さんは黒澤明監督の「天国と地獄」前半の、権堂邸のシークエンスから発想してこの映画を作ったそうだが、あのずっと緊迫状態が続く密室劇からこういう物語を作るなんてどんな発想回路なんだろう。ほぼ一室でコロコロ状況が変わり登場人物たちが右往左往する物語は、まさに三谷舞台ワールド? 楽しかった。「見終わって何も残らないコメディー」が三谷さんの理想だそうだが、まさにそれ。
長澤まさみさんの六変化?は面白かった。いろんなキャラが矢継ぎ早に次々に登場するシーンはすごい。同じくらい宮澤エマさんの変化も楽しかった。そして5人の夫たち+2人の男。すごく楽しそうに演じてるみたい。みんな濃いキャラしてるなぁ。
いつかこれを舞台化してくれないかな。期待する。
エンドロールの戸塚純輝さんの5.5と瀬戸康史さんの6は笑った。
もう1回観たらもっといろんな仕掛けや仕込みが発見できそう。「太陽にほえろ!」オマージュとか、若い人には分からないだろうな。