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ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスターのrebのレビュー・感想・評価

4.0
19世紀半ば、父の決めた相手スチュアートと結婚するために、エイダは娘のフロラとピアノと共にスコットランドからニュージーランドの孤島にやって来る。6歳で自ら話す事をやめたエイダにとって、ピアノは声の代わりだった。
本作も、自分の人生の中で何度か観直すうちに感想が変わってくる映画。
昔観た時は、ハーヴェイ・カイテル演じるベインズの良さが全く理解出来ず、サム・ニールの方がまだマシと思ってたけど、今回はベインズの、間違った愛情の表し方からのエロさや、自分の行動を許せなくなって苦しむ姿など、野生味と繊細さがすんなり理解できた。
そしてこの土地で暮らすベインズの孤独を強く感じた。金持ちではないヨーロッパ移民のベインズは、マオリ族に同化しなければここではやっていけない。
結局被害者のようでありながら、エイダは、自分の欲するものに貪欲に向かっていき、口をきかないと自ら決めた恐るべき強い精神を持った女性だ。
ピアノを返してもらう為のベインズとの取り引き、扉を開けてもらう為の夫との駆け引き。彼女にとって何よりも大切なのはピアノで、あくまでも娘は二の次。取り引きの為に娘は利用され除け者にされる。
母が全てでベインズに嫉妬した娘は、スチュアートをパパと呼び利用して母の恋路を邪魔しようとする。
女だねぇ。女はコワいねぇ。
海辺にポツンと置き去りにされ、泥道に落とされ、斧でたたかれ、海中に捨てられるという、ピアノ虐待映画として最高に見どころの多い作品だった。
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