烏丸メヰ

FPSの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

FPS(2023年製作の映画)
2.8
東京の好条件・格安物件を内見する若い女性。
違和感を覚え、室内を見回すーー


ゲーム区分に使われる言葉としての“POV(point of view ある視点構図)”と“FPS(First person Shooter 一人称視点射撃)”を間違えてないか?
ほぼ全編が主観視点だが、shooter(銃撃戦)要素は一切無し。

『きさらぎ駅』や『リゾートバイト』の永江監督による60分の短編ホラー。

たとえば順路に沿って行動する時、試しに横道に入ったならそこから「順路に戻る」という行動が必然的に発生する。
本作は一人称視点である事で、この“しなければならない行ったり来たり”を緩急や恐怖描写込みで見せているのが手法として特徴的。

ゲーム『バイオハザード』の様な探検の雰囲気にくわえ、たとえばDBDのキラーが軽傷負わせた後に凶器を見るモーションが入り行動がワンテンポ遅いとか、主人公が極限状況なのにアイテム探しに全部屋の宝箱開けて回るみたいな
“映画や現実だったら明らかに変な、ホラーゲームだから許容されている特有の文脈”
みたいなものに(狙ってなのか、そうなってしまったのか不明だが)徹底して則った怪作。
(目にしたものを声か心でわざわざ読み上げる、みたいな説明的描写もそれに近い)

初手のジャンプスケアが個人的に悪手に感じた(以後同じ視点変更時にわざわざ身構え期待したのに別にほぼ何も無し)以外は、低予算・短時間をいい塩梅でまとめられた完結で観やすい作品。
「これはホラー映画じゃない、ホラーゲームだ」のキャッチコピーに偽り無し!
烏丸メヰ

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