千里

莉の対の千里のネタバレレビュー・内容・結末

莉の対(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

参加した映画オフ会のスペシャルゲストとして本作の主演のお二人がいらして宣伝なさっていたことから気になって鑑賞。"自分の存在意義は一人では意味を成さないかもしれないが、誰かとの関係性によって生まれた想いこそ生きる意味になるのかもしれない"というような正にタイトルのようなテーマ。3時間10分ある長編映画だけど、体感的には全く3時間以上に感じないくらい濃密で面白い映画だった。

独身のまま仕事をして、時には舞台を見に行ったり、友達とお茶したりのなんとなくな毎日。特に困っていることもないけれど、日々生きている意味を見出せないという光莉の悩みにはとても共感出来るし、だからこそ真斗との関係が始まって人生が輝いていく過程に憧れる。

でもそういう人生の美しい面だけ描いているのではなく、真斗への気持ちから光莉に真斗との関係について余計なことを言う真斗の親友だったり、真斗から離れた寂しさを埋めるべく推し俳優に連絡して関係を持ってしまう光莉、ファンの弱みにつけ込んで関係を持つ俳優、光莉の親友の旦那の不倫等、人間の嫌な面もしっかり描いているので、後半は中々に見ていて辛いものがあった。

終盤の真斗の行動は流石にやり過ぎで引いちゃったけれども、それ程にまで誰かへの強い想いを持って何かをする(暴力は論外として)って、良い悪いは置いておいてこれこそ人生において"生きている"ということなのかもしれない。

メインの二人の周りの人間関係について途中まで丁寧に描いていた割には、メイン二人以外の落とし所は割とあっさりめでちょっとモヤモヤ。全体の纏まりという目線ではやや美しくはなかったかも。でもその分メイン二人の落とし所は良かったと思う。あと始まって30〜40分くらいの光莉と真斗の関係が始まるところでタイトルが出る演出とても好みだった。
千里

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