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ゆるしのgenarowlandsのネタバレレビュー・内容・結末

ゆるし(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

カルト宗教二世の女子高生の苦悩を描いた啓蒙映画。監督本人も学生時代に新興宗教に勧誘され入信した経験をもつ。宗教二世であった友人の苦難の実話と数多くの取材を元に制作されている。

啓蒙映画なので、映画の完成度よりも、二世が被害者として認識されていない現実を訴えるのが目的なので、スコアはつけなかった。

カルトに入った人は(元夫含め)身近にいた。家庭は地獄になるし、知人友人からは遠ざけられる。盲信の恐ろしさと、その原因はたいていが家庭内の問題であり、信仰する人はいたって真面目で純粋で傷つきやすく、家庭内に助けを求められないから、信仰に救いを求める。カルトは、心の隙に入り込む。

2本続けて親の愛情不足により子供が苦悩した作品を観たが、その親もまた親の愛に恵まれなかったり、深く傷ついた経験を持っていた。

親の信じるものを子供が信じるのは自然な成り行きだが、親も子供もカルトだと認識できないときには誰が子供を救えるのか、本作では祖父母が助けようとしていたが。洗脳を誰が解けるのか。

これはカルトに限らないと思う。私的なことだが、難病だった父が敬虔なカトリック信者で、母は神仏も天国も地獄もあの世も信じない、死んだら終わり、生きてこそ、人(夫)を救えるのは人(自分)しかいないという愛情深いリアリストだった。子供のころから父からの<勧誘>がしばしばあったが、母が悉く粉砕していた。大人になってから本人に考えさせたいと。おかげで信仰する人の気持ちや背景も、信仰を否定する人の気持ちもわかるのだけど、神よりずっと強かった母の教えが染み付いている。救えるのは人だけだと。


舞台挨拶があり、監督・脚本・主演の平田うららさんはまだ22歳の溌剌とした漫画編集者。ゲストは宗教団体の元教祖二世で現YouTuberの大川宏洋さん。二人の掛け合いに新しい時代を感じられた。その道のプロでなくとも、声をあげたい気持ち、伝えたいパッションがあれば、機会はたくさんある。

宗教団体で映画監督の経験もある大川さんは、内側から観た宗教団体についての作品の構想があると語っていた。興味あり。
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