Punisher田中

告白 コンフェッションのPunisher田中のレビュー・感想・評価

告白 コンフェッション(2024年製作の映画)
3.8
猛吹雪の中で山腹までやってきた浅井とジヨン。
しかし、そんな中でジヨンは足を怪我し、レストハウスも道もない。
そこに佇むは遥か高く聳える山と終わりの見えない雪の積もった真っ白な平地。
死を目前にして唐突に告白を始めるジヨン。
告白を受けて、全く信じられないという表情をした浅井だったが、その途端に雪足が少し鈍ると2人の目の前にレストハウスが見えるのだった.....

「だって、死ぬと思ったからーーー」

原作未読ではあるものの、確かにカイジ特有の空気感というか、「ざわ…ざわ…」を体感できる独特な間の取り方には思わずにっこり。
間の取り方は本当に福本先生のそれ。

今作の特筆した部分は、かなりミニマルな中で全ての要素を活かし切っている点だと思う。
ワンシチュエーションに数人が暗躍したり錯綜したりする作品は何回か観たことがあるが、ワンシチュエーションに2人だけ、関連した追加キャラも1人だけ。となると今作がどれだけ挑戦的であり、潔が良いかが分かると思う。
あまりにも少な過ぎる登場人物に対して情報もとてもシンプル。
そんな中でよく85分を持たせたなという賞賛が頭を埋め尽くす作品。


オリジナル箇所として、過去へ逆行した際の関連キャラクターを増やしたり、出来事を大きくしたり、ボリュームを持たせれば良いのに!と考えるが、そこの手段を敢えて蹴り、ど直球で勝負しに来る姿勢は素晴らしい。
確かワンパターンになりがちな箇所があったが、それらのマイナス箇所を補えるほど、ラストの畳み掛けが素晴らしい。
さながら劇場版:世にも奇妙な物語。
ヤン・イクチュンの怪演が素晴らしい、実際に学生時代に何度か体感した留学生特有の""癖""があまりにも怖かった。
告白が新しい告白を産んでいく、シンプルでありながらも猟奇的なこの劇にどうか溺れて欲しい。
ミニマルだからこそ深く潜り込める、ミニマルなことに意味がある作品だった。

この度はFan's Voice様より完成披露試写会へご招待いただき鑑賞させていただきました!
ヤン・イクチュン、あんなにチャーミングな方なのね....いや、余計に怖いわ!
この度はご招待くださり、誠にありがとうございました🙇‍♀️