Punisher田中

インフィニティ・プールのPunisher田中のレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.8
高級リゾート地として知られる孤島:リ・トルカ島を訪れた、スランプ中の作家ジェームズとその妻エム。
この島で新たな作品制作のヒントを得ようと考えていたジェームズの所にジェームズの小説の大ファンだという女性に話しかけられたジェームズはある事象に巻き込まれていく。

ミア・ゴスが全員を喰っている「X」や「パール」に次ぐ、ミア・ゴス地獄映画。
個人的に純粋な人間の根源的な悪性を垣間見たようで凄く良い。
金払いさえ良ければ、罪を犯してもクローンが罪を負う制度が存在する島を舞台に、クローンを通して人間の醜悪さが浮き彫りとなる醜悪な設定がまた巧い。
快楽と狂気の入り混じった螺旋の中で新しい体験へと誘われる官能的な作品だった!これは夢か、はたまた現か、そして自分という存在はーーーー...といった境界全く理解しづらい絶妙な映像がこれまた話を残酷にしている。
本作はR18指定となっているも、ゴア表現の残酷さより作品内での蛮行たちが倫理観を狂わせ、精神に異常を来すかもしれないからだろうか。精神的に参ってる際に鑑賞するのはあまりオススメできない作品だ。

1番気になったのは前作ポゼッサーよりも父・デヴィッド・クローネンバーグのエッセンスを色濃く感じるリアリズムと間の取り方。
今作は変態みが薄れたシンプルなクラッシュであり、罪を犯す事に快感を覚えた成れの果ての様なセレブ達が集まっては、一緒に罪の限りを犯す。
今作はこの一連の動きを酷く滑稽に描いており、外部の人間によって其の地に住んでいた人間が脅かされる様も描いていることから「ベネシアフレシア」で取り扱った様な問題を風刺している感じもする。
面白い!楽しめた!というよりは興味深い作品で、ポゼッサー同様つくづく考えさせられるものだった。