自宅で。
2024年の日本の作品。
監督は「カラオケ行こ!」の山下敦弘。
あらすじ
大学山岳部のOBで親友の浅井(生田斗真「渇水」)とジヨン(ヤン・イクチュン「詩人の恋」!は登山中、猛吹雪で遭難してしまう。足に大怪我を負ったジヨンは自分の死を確信し、16年前に自分が同級生のさゆり(奈緒「傲慢と善良」)を殺したことを告白。その直後、眼前に山小屋が出現し、2人は命を取り留める。薄暗い山小屋の中で救助を待つ中、2人の間には不穏な空気が流れ始める。
公開当時めちゃくちゃ面白そうだなぁーと思って観に行くつもりだったんだけど、予定が合わず、評価も微妙だったためスルーしてたんだけど、Netflixで配信が始まっていたため、ようやく鑑賞。
うーん、個人的にはまぁまぁかな。
お話はあらすじの通り、なんと原作はあの「カイジ」の福本伸行と「沈黙の艦隊」のかんぐちかいじという二大巨匠がタッグを組んだ短編というから驚き。いつか原作版と比較して見てみたい。
で、今作の監督はと言うと昨年は大傑作「カラオケ行こ!」から始まり、かなり変化球のアニメーション「化け猫あんずちゃん」の共同監督と、まぁどちらも昨年の個人的ベストにランクインしたくらいの面白さの作品に関わった山下敦弘!で、全くジャンルの異なるこれも撮ってるわけでしょ?頭おかし過ぎる!!
で、お話的には生田斗真と「息もできない」の監督主演で一躍有名となったヤン・イクチュのほぼほぼ2人芝居で上映時間もタイトな74分。
その中で雪山登山中に2人とも遭難してしまい、その内、足に凍傷かなんかで大怪我を負ったイクチュン演じるジヨンがもうダメだ、俺は死ぬ…ということで、過去に大学の同級生を殺してしまったという最期の告白をするんだけど…。
なーんか2人とも助かっちゃったー😓
ということで一方は最期の(つもりだった)告白を「言ってしまった」男、もう一方は告白を「聞いてしまった」男による長い夜が始まる…って感じで進んでいく。
まず、とにかく時間が74分なこともあり、展開が早い。序盤からとにかく気まずく不穏な空気感で話が進んでいき、ジヨンのナイフの所在についての云々だったり、実は隠して持っていたスマホでジヨンが救助隊に連絡するんだけど、その時に「1人だけ」というワードが聞こえたことを後から速攻で浅井が問い詰めたりと微妙な心理戦を描きつつ、そのほとんどは薄暗い山小屋内でほとんど精神錯乱状態に入ったジヨンと浅井とのすったもんだ。
浅井としては16年も前のことで、自身もとっくに新しいパートナーと家庭も持ち、子どももいる状態ということでまぁ、もう昔のことだし!よくね?みたいな感じなんだけど、一方のジヨンはずっとそのことで自分を苛み、罪の意識を抱えたまま生きてきたわけで、この告白を機会に一気に暗い感情が放出。
最初から何やら韓国語でぶつぶつと独り言を呟いたり、急に凍傷になって痛覚を全く感じなくなった自らの足にナイフをブスブスと刺したりと、いや一緒にいたくねー!ってこちらも感じるくらい不気味な言動をかましてくるんだけど、そこから錯乱モードに入ると結っていた髪を振り乱して急に画面外から現れたり、「シャイニング」のジャック・ニコルソンもかくやの斧で浅井の閉じこもっていたトイレのドアを叩き割ったり、全く機能しなくなった足を引き摺りながら「エクソシスト」みたいなムーブで襲いかかってくるから怖い!!
また、山小屋という極めて狭い室内ながらも居間から繋がる階段があって、そこの2階から真下の備品倉庫に繋がる梯子があって…と割と入り組んだ構造を生かしたサバイバルで手に汗握る展開が続いていくんだけど…。
まぁ、個人的に思ったのは別にヤン・イクチュンである必要性があんまり感じなかったこと。
いや、イクチュンの熱演というか怪演自体はめちゃくちゃ良かったんだけど、それこそ劇場版「世にも奇妙な物語」の一編「雪山」よろしくどんどんホラー的展開に入っていく中で、どうしても怖さよりも必死感が際立ってくるというか。
元々イクチュンってホラーが似合わない泥臭さがあるから、髪振り乱して目をギラギラさせながら襲いかかってきてもあんまり怖さがないんだよなぁ。で、その上で原作はどうかわかんないけどイクチュンのための「留学生」設定もあんまり生きてこない。韓国語でぶつぶつ話したり、あんまり話が通じないって部分を強調したかったんだろうけど、別になくてもどうとでもなりそうだしなぁー。
受け手の生田斗真が良かった分、どうせならホラー映えする日本人の俳優とのダブル主演にした方が良さそうな気がしてしまった。映画ファンは(多分)好きだけど、別にイクチュンてネームバリューそんなないしなぁ。
ラストもまぁなるほどね!とはなったけど、もう少し捻った感じは欲しかったかなぁ。
ただ、まぁとにかくエンディングのマキシマム・ザ ・ホルモンの「殺意VS殺意(共犯:生田斗真)」がめちゃくちゃかっけー!!これだけでも劇場で観れば良かったなぁーと思えちゃうわ(配信ないから💿買わねば!!)
そんな感じで別に急いで昨年に公開しなくても、もっとブラッシュアップして別の形で公開したらもっと良くできたのではと思うと惜しい作品ではありました。