ゆめちん

クレオの夏休みのゆめちんのレビュー・感想・評価

クレオの夏休み(2023年製作の映画)
3.5
クレオの夏休み
 
パリで父親と生活する6歳のクレオは、乳母のグロリアが大好きで母親のように慕っていたが、彼女が故郷のアフリカのカーボベルデへ帰ることに。彼女は突然の別れを悲しむクレオを、夏休みに自宅へ招待する。
 
青い海と豊かな自然に恵まれたカーボベルデの美しい景色を背景に、幼い少女クレオのひと夏の成長が、瑞々しいタッチで描かれる。
 
アフリカでグロリアの家族との生活が始まると、文化や環境の違いに加え、それぞれの感情が絡み合い、ときに争いや衝突も。戸惑ったり、葛藤したり、傷付いたりしながらもクレオは人々の深い愛と優しさに触れ、大自然に癒され、だんだんと成長していく。そんな彼女の姿が愛おしく思える。

物語はクレオの成長を描きつつも、貧しい国の女性が子供を国に残し、富裕層の子供を世話するという現実もしっかり捉える。故郷に置いてきた実の子供たちと、自身の手で育てたクレオ、その間で揺れるグロリアの葛藤が作品により深みを与える。
 
また随所に挿入される素朴なカラーアニメーションで、クレオの揺れる心模様を表現しているのが面白い。
クレオとグロリアのお互いを思う気持ちが詰まったラスト、離れ離れでいてもその絆は変わらないことを確信する。
 
クレオを演じるのは本作が初演技のルイーズ・モーロワ・パンザニ。屈託のない愛くるしさ、ふとした寂しさなど、その自然な演技に最後まで魅了される。
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