いかえもん

箱男のいかえもんのレビュー・感想・評価

箱男(2024年製作の映画)
3.2
昔、30年くらい前に、フジテレビの夜中の番組で「文學ト云フ事」という番組をやってたんですよ。文学作品を映画の予告みたいに作った映像で紹介してくれるという番組でなかなか面白かったんです。それで見た文学作品で、私が手に取ったのがこの「箱男」と三島由紀夫の「美徳のよろめき」でした。あの番組なかったら、私にとって安部公房は今も文学史に出てくる覚えなあかん作家のひとりにすぎず、本を手に取ることはなかったと思う。それをきっかけに読んだ「砂の女」は大変感銘を受けた作品でした。

で、その箱男が映画化ってことで、いやいやいや無理でしょ!あんな妙な話を映画にって!と思いながら、でもあの番組の箱男の予告編面白かったからなぁと思ってかすかな期待を抱いて観てみました。

うーん、どうなんでしょう?正直小説の内容をほとんど忘れてたというのもあるんだけど、こんな話だったっけ?とか思ってしまった。なんか最後の方、街のみんなが箱男になってしまうような展開があったように思ったんだけど、その辺あんまりなかったような。ごめん、その30年前の予告編の方がおもしろかったと思ってしまった。
小説も奇妙すぎるんだけど、でもその奇妙な世界に引き込まれてしまう作品で、その雰囲気を映像化するのは非常に、非常に難しいと痛感してしまう出来上がりだったと言うしかない。

まあでもこういう作品にはこの俳優だろ!の浅野忠信と永瀬正敏が出ててそこはすごい納得。

原作をもう一回読んでみるかという気になっただけでもよかったかな。
っていうかあの番組どこかで配信とかしてほしいなぁ。